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自意識高い系男子。アラフォー。
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夢のテーマパーク、俺たちの誇り、ジャスコ

ネタ 生活

ジーク・イオン!!



この記事を読んでいて、なんとなく思春期の頃を思い出したので、想い出話でもしたくなりました。

私の産まれ育った土地は、埼玉のやや辺鄙な場所で、駅前にはゲーセンの1件もなく、マックやコンビニ、レンタルビデオ店が建ったのでさえ、私が中学生になるかならないかの時分、90年代初頭の話だったと記憶しています。

そのような何もない場所で育った私たち小学生が、「今日はハメを外してパーッと行こうぜ!」と、なけなしの小遣いを握りしめて出かけていたハレの場が、通学区からバスで30分ほどの距離にある、今は「イオン」と名を変えた、故「ジャスコ」でした。

そこにはゲーセンがあり、本屋があり、CDショップがあり。マックがあり、服屋(もちろん、『ライトオン』です)があり、雑貨屋があり。ジャスコで手に入らないモノなどこの世のどこにも存在しない!幼い私たちはそう確信し、夢のテーマパークであるジャスコを大変誇りに感じておりました。


ジャスコが「ネタ」にされている??????

そんな私が、ジャスコに初めて疑問を感じたのは、中学生の頃だったでしょうか。何気なく観ていたTVのバラエティ番組で、それは起こりました。その番組は、「地方出身タレントあるある」的な内容で、小学校高学年ほどに見える少女タレントが、SMAP中居くんの質問に答えておりました。


中居くん:「普段、どんなところで遊んでるの?」
タレント:「ジャスコ、とか?」
スタジオ:「ジャスコwwwwwwwwwwwww」


私:「?????????」


私には、何が起こったのか全く理解できませんでした。ジャスコが、俺達の夢のテーマパーク、憧れであり約束の地であるあのジャスコが、笑いものにされている?????

まぁ、何かの間違いだろう。あのジャスコを笑いものにできる人間なんて、この世に存在するハズがない。湧き上がる心の動揺を必死に抑えつけ、震える指で私はTVを消しました。


東京モンの視点

20代前半、私は「産まれも育ちも東京都墨田区*1という、生粋の東京モンのお嬢様と、恋人関係になっていました。到底モテるとはいえない思春期を送った私に初めてできた恋人に、私は有頂天になりました。 

思春期、私の周囲の恋人がいる友人は、みな、ジャスコでデートをしていました。ジャスコのフードコートやマックで食事をし、ゲーセンでクレーンゲームなどを遊び、本屋に寄り、服(当然『ライトオン』です)を観る。私が育った土地で、思春期の男女がデートするとは、イコールそういうことを指しました。

あんなデートを私もしてみたい!

そう願いつつも叶えられなかった思春期の私の夢が、数年のインターバルを経てついに叶えられようとしている!頬を紅潮させながら満面の笑みで、私は彼女をデートに誘いました。


私:「今度の日曜日、ジャスコに行こうよ!」
彼女:「ジャスコwwwwwwwwwwwww」


私:「?????????」


その刹那、記憶の彼方に葬り去っていたハズの中居くんの番組の亡霊が、私の脳裏に鮮明に蘇りました。彼女の反応は、かの番組のスタジオのそれと、全く同じものでした。そう、東京モンにとってジャスコとは、生活圏に一切点在しない想像上の施設であり、遠くアマゾンのジャングルに匹敵する異国の大地であり、辺境の蛮族どもが集う貧乏臭い「ネタ」としての存在でしかなかったのです!!!*2

眼前に立ちはだかるロッキー山脈よりも高い文化の断絶に、私は激しいめまいを感じ呆然となりましたが、ともあれ彼女をジャスコへ連れて行き、フードコートで食事をし、ゲーセンでクレーンゲームなどを遊び、本屋に寄り、服(明らかに『ライトオン』です)を観て帰りました。

思春期の復讐を果たした私ははしゃぎまくり、ジャスコの施設がどれほど素晴らしいものなのか、この文化不毛の地でこれら店舗の果たす役割がどれほど大きいものなのかを、興奮しながら彼女に説明しましたが、彼女の顔にはクエスチョンマーク。私がなぜこれほどはしゃいでいるのかも、理解し難い様子でした。


私:「ゴメンね。もしかして、あんまり楽しくなかった?」
彼女:「んー、よくわからないけど、たにしが楽しそうだから、私も嬉しいよ!」


天使か!お前は天使か!!


この瞬間、この女性と出会えた幸福を私は心から神に感謝し、彼女を生涯離さない、絶対に幸せにすると、海より深く、アメジストよりも固く。強く強く、心に誓ったのでした…


オチはない

以上、ただノロけたかったなので、オチは何もありません。

ジャスコやイオンとは、都会の人間にとっては「ネタ」なのかも知れませんが、地方に住む人間にとっては生活と文化の拠点であり、青春のすべてが詰まっているといっても過言ではない、とても貴重な施設であり、オラが村の誇りなのです。

成長して大人になり、ジャスコでは手に入らないモノが世の中にあること、東京にはジャスコとは比べモノにならないハイセンスな商品が溢れていることを、私は知りました。

しかし、私の魂はいまもジャスコと共にあります。私が故郷を想うとき、真っ先に思い浮かぶのは、ジャスコのゲーセンの暗がりの中、少ない小遣いをやりくりして遊んだ「テトリス」や「グラディウスII」といったゲームたちの想い出です。地方で少年時代を過ごした人間にとって、ジャスコとは、第2の故郷と呼んでも過言ではない、神聖な場所であるのです。

ちなみに先述の彼女とは、数年の交際の後、価値観の相違を理由に別れを告げられました。んが、ググ。

*1:そのうえ持ちマンション。

*2:ちなみに彼女が10代のころ遊びに出かけていた場所は「原宿」でした。