最初から相手を配偶者候補として見ることで交際のハードルが上がってしまう婚活の罠

婚活、復帰しました

昨年末、同棲していた女性と別れ、独り身に戻ってから数ヶ月。寂しさが募り、普段の生活の中から彼女ができる気配もないので、出会いの機会を増やすために婚活サービスに再登録したのですが…婚活から結婚に至る道の巌しさを、改めて痛感させられています。


婚活のよいところは、「お互いが独身であり、配偶者を求めてこの場に来ている」ことが、はじめから保証されていることです。これにより、

  • 相手に恋人や配偶者がいるのか?という情報の事前調査が必要なくなる
  • 奥手な人間でも相手にアピールすることへの心理的抵抗が薄まる

といった、普通の出会いにはないメリットがあるのですが、実はこれには、大きな罠が隠されているのです。


お互いが独身であり、配偶者を求めてこの場に来ている = 初対面から「配偶者候補」として値踏みし合う

「お互いが独身であり、配偶者を求めてこの場に来ている」ということは、お互いが初対面の段階から、相手を「配偶者候補」という眼で値踏みし合うことを意味します。

普通、私たちが異性と出会ったとき、最初から相手を「配偶者候補」として見るようなことはしません。話をしたり、遊んだりを繰り返すうち、だんだん距離が縮まり、友人になり、恋人になり、夫婦となる。こうした過程を踏むのが、一般的な男女交際でしょう。


このとき、「相手の経済力はどうか?」「家庭環境は?」「長年喧嘩しないで一緒に暮らしていけるか?」といった点は、ほとんど考慮されません。これらは、友達として付き合うぶんには、あまり重要な要素ではないからです。

しかし、婚活での出会いは違います。まず「配偶者候補」としての条件を見て、それに合格して初めて相手と交際する権利を得られるというのが婚活の流れです。このため、婚活での出会いは、普通の出会いに比べ、交際へのハードルが非常に高いものになってしまうのです。

誰だって、「友達として付き合えるライン」と「配偶者として付き合えるライン」には、違いがあります。「配偶者ライン」は、「友達ライン」よりも、高い位置にあるでしょう。ところが婚活では、最初から「配偶者ライン」を交際条件に求め/求められてしまいます。そのため、普通の出会いでは一般的な、「友達として付き合っていたら、配偶者としても大丈夫な相手だと思えたから結婚した」という線が、完全に潰されてしまうのです。

これに、「婚活中の人間は、ダメ線の相手に友達として構っている暇はなく、さっさと次の相手を探したほうが合理的」という事情が、さらに追い打ちをかけます。事実、婚活を通して知り合った女性で、いまでも友達として付き合いが残っている相手は、私にはひとりもいません。


このように、「友達ライン」としては合格で、もし「普通の出会い」として知り合っていたら、友人としてよい人間関係を築き、その流れで結婚に至れていたような相手でも、婚活で出会った場合、「配偶者ライン」として不適切と見られるや、交際を通して人間性を見る前に速攻で切り/切られてしまう。そうした悲劇が非常によく起こりがちなのが、婚活での出会いなのです。


実は婚活から結婚へ至る道は、普通の出会いから結婚へ至る道よりも、長く巌しいのでは?

このように、「婚活を通した出会い」は、結婚に至るルートとして、「普通の出会い」よりも実は遠回りでハードルが高い道なのではないかと、私は疑っています。私自身は、これまでの経験からこのことを心底痛感しているので、婚活で出会う相手の条件はあまり見ず、「普通の出会い」と同じように、まず友達として仲よくできそうかを重視するよう意識していますが、相手も同じように考えてくれるとは限りません。

とはいえ、世の中には仕事が忙しく、職場と家の往復で1日が終わってしまい、職場には1人も独身の異性がいないというような、こと出会いに関しては劣悪と言わざるを得ない環境に身を置いている方もたくさんいることでしょう。そうした方たちは、遠回りなルートと思いつつもこうしたサービスを利用せざるを得ないわけで、まぁ、異性が少ない職業にこれから就く予定の若い方には、恋人は学生のうちに作っておいたほうがいいよと、ウザがられてもいいから全力でお節介を焼いてあげたいと、おっさん的には思うところであります。