『あちら側』へ行ってしまった友人たちへ

子供、いいもん『らしい』ですね

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私はアラフォー独身彼女ナシの身で、子供を持つの持たないの、コストだリスクだベネフィットだ言う以前の、子供を作る相手探しの段階にいるので、↑のどちらの記事もずいぶん遠い話ではあるのですが。

子供、いいもんらしいですね。うちの弟も、数年前に第1子が産まれたんですが、出産に立ち会って死ぬほど感動したらしく、平日の朝4時に興奮して電話をかけてきましたからね。「凄ぇ凄ぇ!メッチャ可愛いメッチャ可愛い!」とか、感嘆詞しかいわない感じの。うるせぇ、こっちは眠いんだよ。


結婚出産に限らず、人生のステージの変化によって、それまで蜜月の仲だった友人との関係が変わってしまうことって、ありますよね。

高校時代、はじめての彼女ができ、友人よりも彼女との約束を優先し、付き合いが悪くなってしまったアイツ。大学時代、趣味も価値観も合い、フリーターの自分と同じ位置にいる親友だったのに、大企業に入社して仕事にハマり、労働観や遊ぶ店の変化から、次第に疎遠になっていったアイツ*1


昨日まで彼女なんかいらねーとか、就職なんかクソ喰らえとか、自分と同じ価値観を持ち、同じことをいっていた友人が、ある経験を境に別人のように豹変してしまう。「こちら側」に取り残された人間としては、昨日までのおまえはなんだったんだと文句のひとつも言ってやりたくもなる、そんな寂しさ*2

結婚や出産も、恋愛や就職と同じように、「あちら側」と「こちら側」に私たちを分断する、人生の転機のひとつなのでしょう。

「あちら側」に行った人間は、「こちら側」にいたころの気持ちや価値観を忘れてしまうし、「こちら側」に残された人間は、「あちら側」に行った人間の変化が理解できない。異性に、企業に、家族に、子供に。洗脳されてしまったのか。狂わされてしまったのか。「あちら側」に行ってしまった人間は、「こちら側」の人間からは、そんなふうに見えている。

人生のコスパを語りたいなら、まず人生のベネフィットを語ってみせろ - シロクマの屑籠

子供には、親になった人間を狂わせるほど夢中にさせるなにかがあるんだな、と思った。

2015/09/14 22:24
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最初はみんな、『こちら側』だった

私は、コスパを考えて結婚していないわけでも、子供を持たずにいるわけでもないけれど、積極的に子供を作りたいという気持ちは解りません。良縁さえあれば結婚もしたいし、子供も作りたいとは思っているけれど、「子供が欲しくてたまらない」という感情は、人生でこれまで一度も持ったことがないように思います。

たぶん、いま子供最高を叫んでいる方たちも、親になる以前、「こちら側」にいたころは、同じような考えを持っていたのではないでしょうか。私の周囲で、いま子供最高となっている人たちを見ても、親になる前から根っからの子共好きで、子供が欲しくて欲しくて仕方がなかったという人を、私は見たことがありません。

それがいま「子供最高」になっているのは、試しに産んでみた子供が、予想以上に、想定外に、結果的に「よかった」からでしょう。しかしその「よさ」は、実際に産んでみるまでは、あなた自身にも解っていなかったハズです。そうした「経験してみなければ解らないよさ」は、「こちら側」の人間には、本当の意味で実感としては理解しようがないものなのです。


「変わるな」と言いたいわけではありません。人生のなかで自分が置かれた立場により、考え方も感じ方も価値観も変化していくことは、自然なことです。ひとは、同類に惹かれやすい生き物ですから、似た境遇の人間同士がつながり、異質な人間同士は疎遠となり溝ができていくことも、仕方がないことなのかも知れません。

ただ、かつては同じ価値観を共有できていた友人が、人生の節目となる経験を境に「あちら側」へと行ってしまう。そのとき私は、えもいわれぬ寂しさを感じずにはいられないのです。

青い車 (CUE COMICS)

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*1:白木屋コピペ、的な。

*2:よしもとよしともの漫画(タイトル失念)に、就職して「大人」になってしまった友人に、フリーターとしてバンドで夢を追うことを選択した大学の友人が、「音楽で世界を変えてやるんじゃなかったのかよ!」みたいなことを涙で顔グショグショにしながら叫ぶシーンがありますが、あんな感じの。