ファッションで一番重要なのは、『流行』ではなく『相性』です
売るために無理やり流行を作るのが標準の業界だからなー。ある意味詐欺ではある。 / 他10コメント https://t.co/qflPO5bh5j “ファッション業界の説明では一般消費者を納得させられない : 南充浩の繊維産業ブログ” https://t.co/Yd5tVAdkR4
— Ta-nishi (@Tanishi_tw) June 7, 2016
↑みたいなこと書いてファッション業界への嫌悪を撒き散らしているかのように見える私ですが、ファッションは全然嫌いじゃなくて、むしろイマドキこんなに服にカネかけてる男珍しいだろってくらい服好きだし、服買ってるんですよ…流行に乗るのも全然嫌いじゃないし。
ファッションで一番重要なのは『相性』なんですよね。アイテムや細かい着こなしのパーツ単位でアリかナシかがあるんじゃなくて、TPOや本人の雰囲気も含めた上でのコーディネートのトータルバランスが一番重要なんですよ。食で喩えると『和食にケチャップは合わないよね』とか、そういう感じ。 和食もケチャップも、単体ではなんにも悪くないし使いドコロもあるけど、一緒にしちゃマズいだろ、という*1。
同じ服装でも時代時代の流行によってカッコよく見えたり悪く見えたりっていう要素はもちろんあるんだけど、『相性』を間違えていないファッションは(ある程度)普遍的にカッコイイし、(ある程度)時代に左右されない普遍性もあるものなのです。
ただ、こういうことを勉強し理解するのは、よほどのファッション好きでもない限りなかなか大変なので、なにを着ればいいのか分からず不安なみなさまに服を買っていただくために*2、ファッション業界は流行を示して「これを着ていれば安心」という標準=流行を作ろうとするんですな。そのほうが生産計画立てやすくて商売的にも効率的だし。
流行というものは、あくまでファッション業界の中の人の都合で人為的に決められているものであって、普遍性のあるものではないということは、頭の片隅に置いてファッションを楽しみたいものだと思います。
私はここまで書いてきたようなことを納得したうえで、『物語』としてあえて流行に乗ったり乗らなかったりしているわけですが、これはあくまでファッション好き、ファッション業界の理屈です。
ファッションに興味が無い人に対して「流行っていうのは普遍的なものではないんですよ。商売上の都合なんですよ」ということを説明せず、あたかも雑誌に載っていることが普遍的なルールであるかのよう喧伝して服を売っている現状については、ファッション業界は詐欺的であるという批判を受けて然るべきなんじゃないかと思いますね。
実際、それでファッション業界に不信感を持って、ファッション嫌いになってる人っていうのもたくさんいるんだろうし、それは一人のファッション好きとして純粋に哀しいことだと思います。
【余談】『ファッションは世相経済を反映する』とは一体なんだったのか
これまで書いてきたように、現代のファッションの流行は自然発生的なものではなく、業界のお偉いさんたちが計画的に決めているものなんですが*3、だとしたら社会学的な評論でしばしば耳にする「ファッションは世相や経済を反映し、不況の時は暗い色が流行る云々」みたいな話は全部デタラメで無価値ってことになってしまうんですが、このへん、どうなってるんですかね…
「半世紀ほど前までの流行は自然発生的だったけど、その後マーケティング技術が進んだ結果流行は人為的に作り出されるものとなり、現代の流行は必ずしも世相を反映しない。俺が言ってるのは半世紀前の話」とかならまぁ理解できるんですけど、ホントのところどうなんでしょうか。教えて!偉い人!!