セクハラは買う男性と売る女性の共犯関係だが、それでも当面裁かれるべきは買う男性側である理由

ビジネスで、積極的に性や身体を売り物にする女性

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↑恨み節がキツイのと、攻撃範囲がやたら広いせいで叩かれているけど、増田が指摘する「チートプレイヤー」「悪代官と越後屋」の構造そのものは、よく理解できる*1

増田が指摘する構造は非常によく理解できるし、セクハラには買う人間と売る人間の共犯関係の側面が確かにあると私も思うが、それでも現状、当面裁かれるべきは買う側だと私は考えている。その理由を、今回は書いてみようと思う。


以下に書くことの大前提として、この話は「権力者からいわゆる『枕営業』の要求を受けた際、便宜を図ってもらう為には要求を飲むことも辞さない女性」及び「自らの意思で性的誘惑を権力者に仕掛け、便宜を図ってもらおうとするタイプの女性」についてのみの話で、「可愛いので上司から特別贔屓にされている」というようなレベルの話ではない。

また、これはあくまでビジネス上での話で、プライベートでお金持ちのパパに愛人として養ってもらっている、いわゆる「港区女子」的な女性の話でもないことを、あらかじめ断っておく*2


性的魅力も才能のひとつ!使える武器はどんどん使っていこうな!!(?)

さて、「権力者からいわゆる『枕営業』の要求を受けた際、便宜を図ってもらう為には要求を飲むことも辞さない女性」及び「自らの意思で性的誘惑を権力者に仕掛け、便宜を図ってもらおうとするタイプの女性」であるが、そんなヤツ本当にいるのかよ?と思われる方もいるかもしれないけれど、いるいないで言えば『いる』。非常に数少ないレアな存在ではあるけれど、ともあれ『いる』。私も、実際に遭遇したことがある。

はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言 岸氏「謝罪します」

「テレビ局なんかもそうだと思いますが、人が資本の会社は異動や配属も人によるところが大きいので、セクハラに逆らいにくい環境があります。それを利用する悪い男がたくさんおり、一方でそれを積極的に利用する女性もいます

↑に書かれた「一方でそれを積極的に利用する女性」が、まさにこのような女性たちだろう。

正直なところ私は、こうした女性たちの行動に、肯定的な考えを持っていた。性だろうと身体だろうと、武器になるならなんでも使えばいい。性的魅力も、貴女の才能のひとつだ。お互いにwin-winの関係が築けるならそれでいいじゃないか。加害者が被害者に望まない性的関係を強要するからセクハラになってしまうのであって、お互いが納得ずくでやっているならなんら問題はない。傷ついている人間もいないじゃないか。

そう、考えていた。


性を積極的に売ることで、加害者に「被害者もそれを望んでいる」というメッセージを発信してしまう

しかし、今回の件で私が考えたのは、そうした女性たちが身体を売ることによって、加害者に伝わってしまうメッセージの問題だ。彼女たちが自らの意思で身体を武器に使うことで、加害者は「女性たちは俺に抱かれることを望んでいる」という、誤ったメッセージを受け取ってしまう。

岸氏がはあちゅうに発したという「俺に気に入られる絶好のチャンスなのに体も使えないわけ?」という暴言は、岸氏に気に入られる為に体を使った女性が過去に存在したことを示唆しているだろう。こうした成功体験を繰り返すことで、加害者は調子に乗ってゆく。自らのセクハラ行為を「被害者もそれを望んでいたのだ」と、一方的な思い込みで正当化してゆく。

なぜ「童貞」を笑いのネタにしてはいけないのか?|アメリカはいつも夢見ている|渡辺由佳里|cakes(ケイクス)

自虐でも、同じ立場の人を「踏みつけてもいい」とほかの人に許可を与えていることになる。

↑の記事では、本人が童貞を自虐ギャグのつもりでネタに使っていても、それが相手には「童貞は嗤ってもよい対象だ」というメッセージとして伝わり、嗤われたくない童貞までもがその被害に遭ってしまうという問題が書かれている。今回、私が書いた構造と、そっくりではないだろうか?


そう考えていくと、ビジネスで性を売り物にする女性は、加害者にエサを与え、性を売りたくない女性を間接的にセクハラの危機に晒しているといえる。冒頭の増田へのブコメで、増田のことを「女の敵は女」と叩くブコメを多くみかけたが、真の女の敵は増田のような女性ではなく、こうした「ビジネスで性を売り物にする女性」だろう。

セクハラ加害者は、性を買う男性だけではない。自らの意志で性を売り物にする女性もまた、間接的な加害者なのだ。


買う人間がいなくなれば、売る人間もいなくなる

これまで書いてきたように、セクハラには性を買う側だけでなく、売る側もその構造に加担しているという側面がある。セクハラの構造は、その両者の共犯関係により強化されていく。悪いのは、買う人間と売る人間、両方なのだ。


ただ、それでも私が思うのは、当面のところ最終的に罰せられるべきなのは、買う人間である男性側だろうということだ。女性が性を売ろうと仕掛けても、買う側である男性が鉄の意志でそれを断固拒否すれば、ここに書いたようなセクハラ構造強化の流れは起こらない。共犯関係であるからこそ、買う人間がいなくなれば売る人間もいなくなる。

それに、売った人間が「共犯者」だったのか「セクハラ被害者」だったのか、第3者が正確に判断することは極めて難しい。であるからこそ、比較的罪がわかりやすい買った側を痛烈に裁くことで、売りたい人間が売れない状況を作り上げる。こうしたやり方が、セクハラ撲滅の現実的な方法論ではないだろうか。


ビジネスでは、性を買うのも売るのもダメゼッタイ。ただ、買う人間がいなくなれば売る人間もいなくなるので、当面は買う人間=セクハラ加害者を絶対に許さない方向で闘っていこうな!」

現時点では、私はこう考えています。

*1:私は、ブラック企業や無料イラストレーターの労働力ダンピング問題を思い出した。

*2:そういうのは好きにやってくれ、としか言えない。