『周囲で誰も持っていないパソコンのゲームについて知っていた』のは、あなた方がそれなりの都会で育ったからですよ!

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↑の話、しんざきさんの体験談自体は事実なんだろうけど、2歳上のほぼ同世代の77年産まれで、同じくゲーム大好き人間の私の体験とはまったく違うので、ちょっとその辺についてでも。


文化的貧困地区に、本屋など無い

思うにしんざきさんの体験談は、ある程度の都会…まぁ、「通学路とか地元の小学生の活動範囲圏内に本屋がある」程度には、都会な場所の話だと思うんですよね。「PCゲームの知識は雑誌から得た」って書かれてますけど、置いてある本屋がなければ、雑誌自体が手に入らないし立ち読みもできませんから…

私は学生時代、埼玉の辺境に住んでいたんですが、本屋も電気屋もゲーセンも、大人が自転車で30分以上は余裕でかかる、駅前商店街かジャスコまで行かないとありませんでした。第二次性徴期前の小学生がジャスコまで行くのは、かなりキツい。普段の活動圏内にあったのは公園と、せいぜい個人経営の駄菓子屋くらい。コンビニがやって来たのすら小学6年生のときで、あの時の衝撃と騒動は、今でもよく覚えています。電気屋店頭のPC展示?なにそれ見たことないんですけど。


そんな環境で育ったので、「本屋に行く」なんてのはせいぜい2週間に1回程度、親の買い物に付き合って、駅前やジャスコに車で連れて行かれた時にだけ発生する、「イベント」でした。

そうしたイベントの時、ここぞとばかりにコロコロやジャンプ、時々ファミマガやマル勝を親にねだって買ってもらう(ただし、買ってもらえるかどうかは親の機嫌次第)*1。親が買い物している1時間程度の間に、本屋もおもちゃ屋もゲーセンも回る必要があったので、雑誌を立ち読みする時間なんてない。今にして考えると、文化面では相当に劣悪な育成環境だったように思います*2


そんな文化的貧困地域で育ったので、私はゲーム大好き人間にも関わらず、当時のPCゲームについて、ほとんど何にも知らないんですよ。FC版『ドラゴンスレイヤーⅣ』は1~3がなぜ存在しないのか本気で分からなかったし、『ファザナドゥ』が「ファミコンザナドゥ」の略だということも知らなかった。『銀河の三人』も『ジーザス 恐怖のバイオモンスター』も当然ファミコンオリジナル作品だし、『イース』初体験は、中学時代にお金持ちの友人の家で遊んだPCエンジンCD-ROM2版。『ウィザードリィ』についてはマル勝でFC版の体験記事を読んで、それがPCゲームの移植だということくらいは知っていましたけど、PC版の現物を観たことは現在に至るまで一度もありません。

周りにPCを持っている友人も、ほとんどいませんでした。「ほとんど」って書いたのは1人だけいたからなんですけど、彼、N君の家に遊びに行ったとき遊ばせてもらったPCのゴルフゲーム、めっちゃ面白かったなぁ*3。両親が公務員で小金持ちだったN君、元気でやってるかなぁ。


同世代の『ゲーム好き』でも「ゲーム体験」は個々人で全然ちがう

思うにネット以前の私達の世代って、同じ「ゲーム好き」の間でも、個々人のゲーム体験の間に、もの凄い違いがあると思うんですよ。

特にPCゲームに関しては、育った環境によって同じゲーム好きの間でも認識が天と地ほどに全然違う。こう言うとアレですけど、文化資本に恵まれた環境で育った人間にとってPCゲームは身近なゲーム体験のひとつとして想い入れ深いものだろうし、私みたいに文化的貧困地域で育った人間にとっては「なにそれ食い物ですか?」みたいな、それくらい違う。

最近話題の『ドラクエ史観』がアレなのは「歴史」として見たらそりゃあ当然なんですが、実際にFCのドラクエ1で初めてRPGに触れた私からしてみると、そっちの方が「実感」としては正しく感じられたりもするんですよね。


私は今でもゲーム大好き人間なので、ゲーム関連の交流イベントによく遊びに行くんですが、そういうトコでちょくちょく遭遇する「ファルコム大好きおじさん」の昔話や熱量には、正直ワタクシ、全然ついていけませんもん、同世代なのに。そういやそういうファルコムおじさん、話聞いてくと大抵東京に実家があったりしますよね!

ネットも無く、情報流通格差が激しかったあの時代、同じ世代の同じゲーム好きでも、ゲーム体験はこれくらい違うわけです。今はネットがあるのでここら辺の情報格差は緩和されていると思いますが、どうなんでしょうかね…



…まぁなんか、個人的なPCゲームにまつわる想い出話を、言いたい放題垂れ流してみましたが、この記事で私が言いたいことはただひとつ!

ちくしょー、俺も都会で産まれ育ちたかった!!

現場からは、以上です。

*1:なぜかファミ通は買いませんでしたね…肌が合わなかったのかな?

*2:小6の時、親にねだってスイミングスクールに通いたがったのは、「ジャスコまで無料バスで送迎してくれるから」という不純な動機だったことを、いま思い出しました。

*3:今にして思えば恐らく『遙かなるオーガスタ』。