ただ、生きているだけ

AM.3:00

起床。

特にやることもないので、TSUTAYAで借りてきたマンガを読んで退屈な時間を潰す。『キングダム』『闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説』『1日外出録 ハンチョウ』『中間管理録 トネガワ』『夫のちんぽが入らない』『月曜日の友達』。

『月曜日の友達』は作者もタイトルも知らずジャケ借りした作品だったのだけれど、素晴らしかった。1巻しか借りていないので続きが楽しみだ。


マンガに飽きたらネットを観たり積み本を崩して適当な時間を過ごす。最近読んだのははてなでも活躍中のシロクマ先生著『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さ』。

個人的には「人間市場」の話として受け取った。人間市場に参入するために、そこで自分が選び選ばれるために、個人が「市場価値」を要求される社会。その「価値」のベースにあるのが健康/清潔/道徳であり、それを得ることが難しい特性を持った者は市場に参入すらできず、友人も恋人も配偶者も得られない「不自由」を余儀なくされる。そんな社会における敗者の生きづらさを炙り出した本。そう、私は受け取った。


AM.9:00

リモートワークのWEBタイムカードを押し、仕事を始める。私は仕事に対するモチベーションが極めて低く、所詮は生活の手段という意識で取り組む健康優良不良社会人なので、せいぜい怒られない程度に与えられたノルマをこなす事を目標に、AMラジオを聴きながら家事をやったりネットを観たりしながら、休み休み仕事をする。

AMラジオはリモートワークを始めてからの習慣だ。私は基本的にシングルタスクな人間なので、音楽を聴くとそちらに気を取られて仕事にならない性質なのだけれど、AMラジオはなぜか平気である。理由は不明。会話の適度な「どうでもよさ」が、聴き流すことの罪悪感や義務感を薄れさせてくれるからかも知れない*1

昨年35年ローンを組んで購入したマンションのおかげで、リモートワーク環境は至って快適。ここまで予測して購入したわけではないけれど*2、コロナ禍が来たいまマンションについては買っておいて本当によかったと思う。もしも去年まで住んでいたボロアパートで仕事をしていたら、いまよりよほど憂鬱な気分で日々を過ごしていたに違いない。


PM.6:00

WEBタイムカードを押して仕事を終わらせ、そのまま夕食の支度をする。これもリモートワーク以降の習慣だが、通勤時間がなくなり早い時間に仕事から開放されるので、夕食を自炊するようになった。朝食と昼食は摂らない。一日中家にいるせいで、カロリー過多になるからだ。

そのぶん夕食には気合が入る。数万円する炊飯用の土鍋を買い、212キッチンで洒落た用具を買い揃えた。お気に入りの道具で作る料理はとても楽しい。クラフトビールサブスクリプションサービスに入会し、それを適温で保存するためのワインセラーも購入した。夕食と共に楽しむそれらアルコールは本当に格別だ。

一昨日はピーマンハンバーグ、昨日はキャベツのパスタ。

自炊したそれら料理を食べ、クラフトビールやワインを飲みながら、友人から勧められたアニメを1時間ほど鑑賞する。いま観ているのは『コードギアス』と『TIGER & BUNNY』。私はこれまでそれほどアニメを観る習慣がなかったが、最近知り合った友人にコアなアニメファンが多く、彼・彼女らが勧める作品を観るようになった*3。どれも面白い。


PM.8:00

アニメを観ながら夕飯を肴に酒を飲んでいると、ここらへんで睡魔に耐え切れず眠ってしまう。目覚めればAM3:00。冒頭に戻る。



ただ、生きているだけ

以上が、ここ1ヶ月ほどの私の生活ルーチンだ。これ以外なんの変化もなくなんの刺激もなく、只々、毎日は続いていく。

ぶっちゃけ、暇である。人間、暇が過ぎると余った時間で余計なことを考えだす。3年前に吹っ切れたと思っていた『例の彼女』が再び夢に出てくるようになり、空いた時間さえあれば何時でもまたうじうじと過去を振り返り、あり得たかも知れない彼女との「いま」を夢想するようになった。

そして、虚無感。

本を読み知識を得たところで人生に活かすアテもないのであれば、それが何になるというのだろう?酒を飲みアニメを観ることは気晴らしにはなるが、それも一時の慰めにすぎない。唯一、料理だけは心の底から純粋に楽しく、作業に没頭している時間だけはネガティブな思考から開放されるが、一日中ずっと料理を作っているわけにもいかない*4


人間関係のもつれから、『例のバー』を喪ってしまったことも大きい。仕事ではなくプライベートに重心を置き生きてきた私にとって、『例の彼女』は、そしてそれを喪った後の身代わりのように機能してきた『例のバー』は、アイデンティティそのものだった。それらが共に喪われたいま、「役割不足」から私はアイデンティティクライシスに陥り虚無感に苛まれている。そういうことだろう。

新しい「役割」が欲しい。


しかしそれは、自分自身の手で掴み取るものだろう。

いま最も私を苦しめているのは、結局のところそのための行動をなにひとつ起こそうともせず、過去にしがみつきうじうじと思い悩んでいるだけの自分自身に対する嫌悪感、そのものなのだ。



*1:お気に入りはTBSラジオ

*2:当たり前だ。

*3:ので、視聴タイトルが微妙に古い。

*4:食べきれない。満腹や肥満の問題さえなければ永久に料理を作り、食べ、余計な事を一切考えないで済む生活を送りたい。