異性への好意を『加害』にしないためには、相手と『欲望の等価交換』が成立するレベルまで恋愛力を高めるしかない

恋愛とは、異性との欲望の等価交換である

先日書いた「恋愛とは、異性の欲望を互いに満たし合う行為である」に出てきた「30代素人童貞彼女いない歴=年齢というエリート非モテ」は、端的に言って@IEND29さんなのですが、ご本人から感想をいただきました。

togetter.com


↑でIENDさんが恐れている「加害」とは、


みたいな話だと思うんですが、これはもう、「異性にアタックしても、少なくともキモがられることはないだろう」と自信を持てるレベルまで、自分の恋愛力を鍛え上げるしかないと思います。

興味のない人から向けられる好意は「不快」か「愉快」か|BIGLOBEニュース


世の中には、「こいつと関わったら、気持ち悪いどころか自分自身の価値が相対的に下がるから絶対にやめて欲しい」と言いたくなるほど見下す対象もいるじゃないですか。そういう相手から好意を告白されたら、走って逃げた上で「私なんてその程度の価値しかない人間なんだ」と絶望してしまうかもしれません。


実際、性別をひっくりかえしてみても、男性側が「この女に好かれるなんて絶対イヤだ」と逃げてしまうこと、あると思います。傲慢の誹りを受けるでしょうが、誰が相手でも「“好意”ならすべてOK」、なんてことはないですよね。むしろ好意だからこそ気持ちが悪いものです。

↑は、「興味のない人から向けられる好意ほど、気持ちの悪いものってないでしょう?」の元ネタである「クズの本懐」のレビューの一節ですが、これは本当にキツイ。死ぬほどメチャクチャキツイです。

しかし正直、「好きでもない相手からの好意」に迷惑さを感じてしまった経験は私にもあるので、この気持ちはわかってしまいます。

前回の記事で私は、「恋愛とは、異性の欲望を互いに満たし合う行為である」と書きましたが、もう少し正確にいうと、「恋愛とは、異性との欲望の等価交換」なんですよ。魅力的で、異性の欲望を駆り立てることが可能な人間は、その魅力を利用して、自身の欲望も最大限に満たしてくれる異性と恋愛したいと考える*1。そう考える人間にとって、自分よりも「下」の人間からの好意は、やっぱり迷惑なんですよ*2


↑のようにIENDさんは言うわけですが、実際、「愛する事は加害である(こともある)」からこそ、愛が加害にならないよう、「欲望の等価交換」が成立するような「資格」が恋愛には必要だと思います。

「資格」とは、この場合は「恋愛力」です。コミュニケーション能力、会話力、経済力、容姿、社会的地位、年齢など、恋愛に求められるありとあらゆる能力の総体としての「恋愛力」です。この等価交換が成立したとき、はじめて好意は恋愛として昇華されるんですよ*3

だから、自分が好きになった異性と恋愛関係になりたいのであれば。好意を寄せることが「加害」にならないようにしたいのであれば。その異性と釣り合いがとれるまで、自分の恋愛力を鍛えるしかない。


もうなんだか「人間の価値の格差」みたいな身も蓋もない嫌な話になってしまい、今回の記事は自分で書いてて絶望的な気分になってきましたが、恋愛に限らず、人間関係ってこういうところあると思うんですよね。恋愛は、他の人間関係よりも強い欲望が働く関係なので、より露骨に「市場化」してしまいますが、同性の付き合いなどでも相手の「値踏み」は日常的に行われていますし。

こうした欲望が綺麗か汚いかでいったら、もうどうしようもなく汚いものだと思うし、人間を傷つけるものだと思うんですが、こうした欲望は他人だけではなく、自分の中にもあるものなんですよね。

IENDさんとの飲みの席で、IENDさんの話を聞いた参加者のひとりが、「そういうこと、中学生くらいのときは私も考えてた気がします。懐かしいです」と言っていて、これはもう本当に残酷なセリフで、あの飲み会中ダントツNo.1に残酷で上から目線で失礼なセリフだと思ったんですが*4、そうした汚さと折り合いをつけ、自らも汚れていくことが、ある種「大人になる」ということなのだろう、とは思います*5。本当に、哀しいことですが。


クズの本懐(1) (ビッグガンガンコミックス)

クズの本懐(1) (ビッグガンガンコミックス)

*1:「エゴだよ、それは!」と言いたくなる気持ちもわかりますが、恋愛自体がエゴの塊そのものなので…

*2:正確には、恋愛関係に発展するような、「距離感の近い好意」が迷惑。アイドルを遠くから眺めるような好意は、自分に危害や責任が及ぶ恐れがなく、承認欲求や優越感が満たされるので喜ばれる。ここで勘違いして、距離を縮めようとしてしまうと…

*3:私は恋愛では女性が有利だと考えているのですが、それは恋愛が人生の一大事である若い時代に、「若い女性の体」というチート級に強力な武器を標準装備し、「恋愛力」が底上げされるからです。

*4:30代の成人男性に、「おまえの恋愛観は中学生レベルだ」と言っているわけですからね…

*5:「無垢であることの価値」みたいなものもあると思うので、この表現、本当は使いたくないんですけどね…