『フェミニズムは全ての女性の総意ではない』という事実を、ミソジニーに陥らない為に全ての男性は見誤らないようにしなければならない

キラキラアカウントとフェミの人たちは、異人種です

↑でmentameさんがおっしゃる、"キラキラアカウントとフェミの人たちは異人種"。これ、本当に大切な視点でしてね。ここをごっちゃにしてしまうと、女性はとんでもないダブスタ野郎だ信用できない連中だと、簡単にミソジニー一直線になってしまうので、気を付けないといけません。


『女にカネを出させるなんて信じられない。男としてのプライドがお前にはないのか』事件

ここをごっちゃにして女性を一緒くたに扱い、ミソジニーに陥ってしまっていた。そんな時期が、私にもありました。


私、フェミニズムの「ジェンダーの抑圧からの解放」「家父長制的パターナリズム批判」に強く賛同する人間でして。そうした考えから、付き合っている女性にも全部奢るのではなく、収入差に合わせて傾斜つける感じでやってたんですよ。金銭獲得という役割は、「男女」というジェンダーに基づいた役割分担ではなく、稼いでいる側の人間が出すなり、双方が話し合った上で納得した形に決めるなりするべきだと、当時の私は考えていましたから*1

でも、当然ですが、全ての女性がこうしたフェミニズム的な考え方を持っているわけではなく。

あるとき付き合っていた女性から、「女にカネを出させるなんて信じられない。男としてのプライドがお前にはないのか」と、何の悪びれた様子もなく、ハッキリ直接言われてフラれましてね。当時の私は、女性の多くはフェミニズムに賛同しているものだと思い込んでいましたから、たいそう憤慨したわけです。

おまそれ、歴史的に散々女性を苦しめてきたジェンダーの抑圧や家父長制的パターナリズムそのものじゃねーのかよ。それに賛同するとかお前、名誉男性かよ。抑圧的社会構造再強化への加担かよ。女の敵は女を地で行く展開かよ。ここは酷いリアルワールドですね、と。


今にして考えれば単純に、「彼女はフェミニストではなく、キラキラ女子だった」ってだけの話なんですけどね。

↑のような考えの女性も、いるわけです。そして、彼女がこうした家父長制に賛同する思想を持つことは、自由です。


すべての女性がフェミニストなわけではない

フェミニストは、さも「フェミニズムは女性全体が望んでいることであり、女性全体の、引いては社会全体の利益になる思想なんですよ」という体で『女性』という言葉を使うことが多いですが、これは、主語が大きすぎる間違った物言いです*2

フェミニズムは全ての女性から支持されているわけではないし、全ての女性にとって「正しい」わけでもない。家父長制を支持するような立場の女性にとってはむしろ、「既得権の侵害」にすらなり得る思想だということ。ここは、押さえておかないといけません。

でないと当時の私のように、「フェミニストが望むように女性に接していたのに、当の女性からそのことを批判された!女性はとんだダブスタ野郎だ!」と、ミソジニーに陥ってしまいます。

これを防ぐためには、フェミニズムは女性全体が望んでいる思想なのではなく、一部の「フェミニスト」だけが支持している思想なのだということを、見誤らないことです。フェミニストではない女性が、家父長制的な男性からの保護を望んでいるケースはあり得ますし、それを望むことは、彼女の自由です。


要は、フェミニストという属性を女性全体に当てはめるのではなく、目の前の女性個人を見ろ、ということです*3

フェミニストとチワワ先輩とでは、言っていることが180度異なり矛盾がありますが、これはダブスタではありません。フェミニストはチワワ先輩ではなく、チワワ先輩はフェミニストではないからです。両者は「女性」という属性こそ共有していますが、それぞれ、異なる思想を持った個人なのです。


ただし、フェミニストとキラキラ女子を、都合よく使い分けるダブスタ野郎のみなさまは、批判されて然るべき

ただし。

普段はキラキラ女子的な言動をとっている癖に、使えるときにだけフェミニズム思想を自分に都合よく援用し、男性を批判するようなみなさま。あるいは逆に、自分ではフェミニストを自称している割に、その実言動では既存のジェンダー規範を再強化/温存するような内容を平気で発言し、家父長制的に男性からの保護を望むようなみなさま。

てめーは駄目です。

ネット等で稀によくお見かけするこうしたみなさまは、完全にダブルスタンダードな存在です。フェミニストとキラキラ女子は、同じ人物の中に同居する事はできません。そうした矛盾した存在には、「お前はフェミニストじゃねぇ」と徹底的にダブスタを指摘され、批判されて然るべきだろう。そう、私は考えています。


*1:当然、話し合いの結果男側が奢るべきとなる個別ケースもあり得ますが、「男だから」奢って当然となるのは筋が違う、と考えていました。

*2:世間にこうした誤解を与えるような物言いをしてきたことを、フェミニストは反省するべきでしょう。

*3:そして実はこれこそが、『個の尊重』という本来の意味でリベラルで、フェミニズム的な視点なのではないか、と私は考えています。死せる野獣の自由より、家畜の安寧を望む人間もいる。それを性別に関係なく、望んだ側の立場を取ることができるというのが、最終的なフェミニズムの理想形なのではないでしょうか。